• 長久手市大学連携推進ビジョン4U

 

長久手市において愛知県立芸術大学音楽学部が行っている音楽活動を、地域連携という視点からご紹介したいと思います。まず、今日は「ヴェニュー」という言葉をキーワードにお話したいと思います。これは英語の単語で、辞書の意味でいうと「会合場所」とか「開催地」、「場所」ということになります。日本語にはぴったりする言葉がありませんが、「於ける」の「於」という漢字が一番近い言葉かもしれません。

 

愛知県立芸術大学音楽学部の「ヴェニュー」としては、主にどんな所があるかというと、まず学内にある「奏楽堂」と「室内楽ホール」。それから教室をホールとして使う場合もある。また、「長久手市文化の家」という「ヴェニュー」があります。名古屋市の中心の方に行くと、愛知芸術文化センターのコンサートホール、電気文化会館コンサートホール、しらかわホール、そして名古屋市の各区の文化小劇場などもあります。

 

地域連携の視点から、まず“ホーム”である大学からご紹介すると、「奏楽堂」は音楽教育、入学式や卒業式など大学行事に使用される施設です。大きなパイプオルガンがあり、入学式や卒業式などの際に演奏されます。大学のコンサートを行う場所でもあり、9月16日には「愛知県立芸術大学管弦楽団ポピュラー・クラシックコンサート」が開催されました。これは毎年この時期に行なわれるもので、固定ファンもいらして、近隣の方が毎回来てくださいます。このコンサート、実はここで開催するのは今年が最後で、来年度からは「文化の家」で開催することになっています。他に「奏楽堂」で毎年開催するのは、「芸祭オペラ」。11月の「芸祭」という大学祭で行う、学生主体のオペラです。これも固定客がついていて、私もスケジュールが合えば必ず観るのですが、いつも面白い演出で行われています。

 

本学のもう一つの「ヴェニュー」である「室内楽ホール」は、音楽教育、演奏会、講座などに使用するための施設で、純粋に音楽のためのホールです。直近では、8月2日にシューマンの歌曲のコンサート、そして7月22日にはアーティスト・イン・レジデンスによるコンサートが行われました。その2日前には卒業生を中心とする弦楽四重奏団のコンサート。7月16日には、カリフォルニア大学サンディエゴ校の先生とこちらの学生が演奏会を行いました。なかなか一般の方に情報が伝わらず、集客が難しいのですが、こうしたコンサートを頻繁に行っています。

 

学外の「ヴェニュー」として、まず「長久手市文化の家」がありますが、この施設は長久手における、愛知県立芸術大学の音楽活動のハブといっていいと思います。本学と「文化の家」の提携事業は非常にたくさんあるのですが、その中から「室内楽の楽しみ」と「大学院オペラ」をご紹介します。

 

「室内楽の楽しみ」というのは、「文化の家」オープン当初から行われているもので、音楽学部の学生にとってとても重要なイベントです。私は毎年オーディションの審査員をしていますが、多数のエントリーがあり、1日がかりで上位数組を選びます。長久手市定例の音楽イベントとして定着しているようで、9月24日のチケットは完売という人気のコンサートです。

 

もうひとつ大きなイベントである「大学院オペラ」は、毎年12月に行われ、声楽の大学院生を中心とするキャストで、オーケストラも学生によって構成されています。そして、舞台装置などは美術学部が担当しています。芸術大学で音楽と美術が一緒になっているところは本学以外にもあるのですが、オペラをこのような形で合同制作するのは極めて希なことで、愛知芸大が成功しているのは奇跡的と言っていいかもしれません。今年は「ヘンゼルとグレーテル」を12月の9、10日に「長久手市文化の家 森のホール」で開催します。

 

「文化の家」が主体の事業に、「おんぱく」というイベントがあります。これには、大学として提携はしていないのですが、私は批評の立場で参加しました。そこで、愛知芸大の在校生や卒業生がいかに多く関わっているかを知り、非常に驚きました。オーケストラになると、8割くらいは本学の卒業生や在校生だったのではないでしょうか。さまざまなイベントが同時に行われているのですが、どこに行っても本学の学生が関わっていました。卒業後も長久手近隣にいる人が多いようで、彼らにとって長久手市は実践的な活動の場のようになっているという状況を、このイベントで強く感じました。

 

そして、「ヴェニュー」としては、あまり人の目に触れない活動もあります。アウトリーチという「長久手市文化の家」の自主事業で、「中学校であーと」「小学校であーと」という活動です。「であーと」というのは、“出会う”と“アート”を合わせた造語だと思いますが、内容はクラス単位でアーティストと生演奏に触れるプログラム、また、給食時のゲリラ演奏もあります。この「であーと」のプロジェクトに、本学の在校生、卒業生が多く参加しています。

 

今までは、アウトリーチ事業に直接関わらない形で連携していましたが、今年度からは「文化の家」の方に来ていただき、学生にアウトリーチの指導をお願いしています。この活動はなかなかうまく進んでおり、これから体系化していきたいと思っています。

 

以上、「ヴェニュー」をいう視点で、長久手市における地域連携の取り組みを紹介させていただきました。“ホーム”である大学だけでなく、近くにある市内の施設も大切な活動の場所であり、特に「長久手市文化の家」とは今後さらに連携を強くしていきたいと思っています。

(2017年9月23日、第4回ワーキング、愛知県立芸術大学)